花椒は旱魃に強く、土地を選ばない。

主に暖かく、湿度の高い山地及び水の少ない山地、丘地区で栽培される。

 

太行山脈・イモン山脈・陜北高原南部・秦巴山脈・甘粛南部・川西高原東部・及び雲貴高原が

主要産地である。

特に河北省渉県・平山・山東省のイ源・陜西省韓城・山西省の平順・甘粛省武都・秦安各地で

の年収穫量は5万キロに達する。

四川漢源、冕寧産出の正路花椒、陜西鳳県、韓城産出の大紅袍、甘粛武都、秦安産出の大紅袍、

秦安1号、河北渉県、武安及び山西東南地方産出の小紅椒が優良品種として知られている。

花椒の実生範囲が標高200-2200mの間、多くが標高1300-1700mである。

但し、人工栽培の場合、地方により異なり、甘粛隴南山地では標高1000-1600m、隴中の丘、

隴東の山間部では1700-1900mが一般的で、最高2200mに達することもある。

 

栽培条件が緩やかで、経済的な価値が高い。 

 

例えば、

大紅袍の産地価格がキロ当たり20-24元

7-8年目の花椒木の実の皮の一本あたりの生産量が2-3キロ

ヘクタール(15ム)あたり750-825株 で計算すると、

ヘクタールあたりの年収入が3万元以上で、比較的に価値の高い作物である。
多くの貧しい山地では、花椒栽培が重要な収入源になっている。

実の皮に濃厚なしびれる香りを持ち、中国で香辛料として広く使われる。

種子に25-30%含まれる油が乾性油に属し、食用や石鹸・ペンキ・潤滑油の原料として使用可能。

実の皮・へた・種子・根・茎・葉は漢方薬原料で、身体を温め・殺虫・痛み止めの効能がある。

また倉庫の虫害予防にも使える。

若枝・新鮮な葉は料理・漬物の材料として使える。

青い乾燥葉は小麦食品の香料になり、油粕は飼料・肥料の原料、木が小道具用の大工材料になる。
花椒は枝・葉の成長が旺盛で姿が美しく、成熟の時実が鮮やかで・香しく、観賞価値もある。

根が多く、土地を固め・水を保持する効果もある。


 

二、花椒種類及び主な優良品種

(1) 主な種類

中国原産のサンショウ属の植物の主な種類は以下のとおり

1. 花椒

花椒は秦椒、鳳椒、蜀椒とも呼ばれ、椒樹と略称される。

中国で最も広く栽培され、最も経済価値のある品種、全国各地で栽培される。

枝にトゲがあり、トゲの基礎部分は太い。

小葉は5-9枚があり、卵形か円形で、周りに細くて鈍い歯がある。

花の上部で実る。

実が球状で、表面に細かい点があり、成熟後薄赤色か紫色になる。

4-5月に開花し、6-10月に実る。

 

2. 野花椒

花椒の皮を取るメイン品種の一つ、用途が花椒と同様、但し、味がやや落ちる。

主に揚子江以南及び華北の産地で生長し、実生種類で、栽培が少ない。

枝にトゲがあり、皮に白い穴がある。小葉は5-9枚があり、卵形か円形、茎が短く、茎なしに近い。

周りに細くて鈍い歯がある。花の上部で実る。

実が球状で、表面の点が鮮明でない、成熟後薄赤色か紫色になる。

3-5月に開花し、6-8月に実る。          

 

3.川陜花椒

大金花椒とも呼ばれる。

木が花椒キヌタを作れる。

実の皮から香料油を抽出でき、種子も油を搾れる。甘粛、陜西省の南部と四川省北部で見られる。

枝に真直ぐのトゲがあり、基礎部分は太い。

小葉は11-17枚があり、逆卵形か斜め卵形、両側非対称、上部周辺に細くて鈍い歯がある。

花の脇か上部で実る。

球状の実の表面に点が鮮明で、成熟後紫色になる。

4-5月に開花し、6-8月に実る。          

 

4.竹葉花椒

竹葉椒とも呼ばれる。用途は花椒と同様。

但し、実の皮に痺れた味が濃く、香りが薄い。主に西南、東部、中部、華北で生長する。

山地で少量の栽培もあり、花椒キヌタの木として使える常緑か半常緑、枝に基礎太い、頂部やや曲るトゲがある。

小葉は3-9枚があり針形か長卵形、周りに浅いトゲがある。

花の脇から実る。球状の実が小粒、表面の点が鮮明で、成熟後赤色か紫色になる。

4-6月に開花し、7-9月に実る。          

 

5.青花椒

岩椒、野椒、香椒子とも呼ばれ、青椒と略称される。

用途は花椒と同様。黄河流域に生長する。

枝に針状トゲがあり、小葉は11-21枚があり、針形か針状楕円形。

花の上部で実る。球状の実が先端に小さな口があり、表面の点が鮮明でない。

成熟後薄い緑色か濃い緑色になる。

赤色、紫色のものが殆どない。6-8月に開花し、9-11月に実る。

 

 

(2) 主な栽培品種

花椒の中国での栽培歴史は長く、その中で様々な変種も生まれ多くの品種が存在しています。

自然進化と人工育種によって60以上の栽培品種が誕生してきました。

代表的な主要品種は以下のとおり。

1. 大紅袍

大紅椒・獅子頭・グダ椒とも呼ばれる、最も多く広く栽培される優良品種。

樹の高さが3-5m、生長が旺盛で、伸びが速い。

分枝の角度は小さく、半分開いている傘のよう形。

新枝が赤、一年枝が紫、多年枝が灰色と変化していく。

トゲの基礎部分は太く、先端が鋭い。

葉は、卵形・深緑で厚くて滑らかな光を持つ。

実が8月中旬から9月上旬にかけて成熟し、鮮やかな赤色になる。

表面の点が鮮明で、茎が短い。

穂に実の密度が高く、粒が大きく(直径5-6mm位)で、千粒の重量は85グラム。

成熟した実は割れ易く、収穫時期が短い。

天日乾燥の実の皮は濃く赤色で、痺れた香りが強く、品質が良い。

4-5キロの新鮮な実から1キロの皮を取れる。

旱魃に強いが、肥料を沢山必要とし、水害、寒さに弱い。

標高300-1800mの乾燥山地、丘地区での条件の悪い土地での栽培に適する。

陜西、甘粛、山西、河南、山東などで広く栽培され、多くの生長形態を生み出した。

2. 大紅椒

油椒、二紅袍、二性子などとも呼ばれる。

樹の高さが2.5-4.5m、分枝の角度が大きく、樹の姿が開き、樹の上部が丸い。

生長状態は普通。

新枝が浅緑、一年枝が濃い緑、多年枝が灰色になる。

トゲの基礎部分は太く、先端が短くて鈍い。

枝の年数の増加につれ、トゲが落ちていく。

葉が大きい卵形で、色が大紅袍より薄く、表面が滑らかで光る。

実が9月中旬頃成熟し、赤色になり、油のように光る。

表面の点が鮮明で、穂の密度が低く、茎が短くて大きい。

実の大きさは普通で均一、直径4.5-5.0mm位で、千粒の重量は70グラム。

天日乾燥後の実の皮が厚く、濃い赤色で、痺れた香りが強く、品質が良い。

3.5-4.0キロの新鮮の実から1キロの皮を取れる。

収穫量は安定的で、多湿にも耐えられ、各種悪条件に強い。

1300-1700mの旱魃山地、川沿いなどに適する。

西北、華北各省での栽培が多い。

3. 小紅椒

小紅袍、小椒子、米椒、馬尾椒等とも呼ばれる。

樹の高さが最も高い時2-4mで分枝の角度が大きく、樹の姿が開き、樹の上部が扁平な円形。

成長状態は普通。

新枝は緑色で日に当たる面がやや赤く、一年枝は深緑、多年枝が灰緑になる。

トゲが少なく、小さく、鋭い。

葉は小さく、色が薄緑。

実が8月上中旬に成熟し、鮮やかな赤色になる。

茎が長く、穂に実の密度が低い。

粒が不揃いで、小さく、直径4-4.5mm位で、千粒の重量は約58グラム。

成熟した実は割れ易く、収穫時期が短い。

乾燥の実の皮が鮮やかな赤色で、痺れた香りが強く、香ばしく、品質が良い。

3.0-3.5キロの新鮮の実から1キロの皮を取れる。

小紅椒の枝が細く、柔らかく、垂れやすいので発芽率、有効枝になる効率が良く、実るの早い。

但し、成熟した実が割れ易いため、収穫が遅れると落果し、生産量、品質に影響が出るので大面積の栽培に向かない。

河北、山東、河南、山西、陜西などの省で栽培される。

特に山西省の東南部、河北省の太行山地に集中している。

4. 白砂椒

白里椒、白砂旦とも呼ばれる。

樹の高さは最も高い時で2.5-5.0m。

新枝が白緑、一年枝が薄緑、多年枝が灰緑色になる。

トゲが少なく、大きい、多年枝のトゲは良く落ちる。

葉は大きく、薄緑。実が8月中下旬に成熟し、薄赤色になる。

茎が長く、穂に実の密度が低い。

粒の大きさは普通で、1000粒の重量は約75グラム。

天日乾燥の実の皮が濃い赤色で、痺れた香りが比較的に強いが色が落ちる。

3.5-4.0キロの新鮮の実から1キロの皮を取れる。

色が落ち、販売し難いため、大面積の栽培に不向き。

河北、山東、河南、山西省で栽培されることが多い。

5. 豆椒

白椒とも呼ばれる。

樹の高さは最も高い時で2.5-3.0m。

分枝の角度が大きく、樹の姿が開き、生長状態が旺盛。

新枝が白緑、一年枝が薄緑、多年枝が灰色になる。

トゲの基礎部分は太く、先端が鈍い。

葉が大きく、薄緑、長卵形。

実が9月下旬から10月中旬にかけて成熟する。

茎が太くて長い、穂に実の密度が低い。

実が成熟する前に緑から白緑になる。

粒が大きく、皮が厚く、直径5.5-6.5mm位で、1000粒の重量は約91グラム。

実が成熟後薄赤色から乾燥後の暗い赤に変化。

皮の品質は普通。

4.0-5.0キロの新鮮の実から1キロの皮を取れる。

豆椒が栽培しやすく、収穫量が多い。

黄河流域の甘粛、山西、陜西などの省で栽培される。

6. 秦安1号

大獅子頭とも呼ばれる。

甘粛省秦安県林業局が当県の郭加郷槐廟村で発見した大紅袍の変種。

分枝の角度が小さく、樹の姿は半分開いているような形、生長状態が強い。

枝の状態は大紅袍と同様。

葉が大きい卵形、葉の脈がやや落ちるように見え、葉の表面が波瀾状、濃い緑色。

実が8月下旬から9月上旬にかけて成熟し、穂が大きく、密度が高い。

茎が極めて短く、粒が大きい。

1000粒の重量は約88グラム。

実が成熟時鮮やかな赤色で、乾燥後濃い赤にになる。

色が良く、痺れた香りが強く、品質が良い。

肥料と水を好み、痩せた土地にも耐えられる。

旱魃、寒さにも強いため、水の少ない土地での栽培に適する。

最近、山地での栽培が増え、周辺地区へも拡大している。

三、生長及び実りの習性

花椒樹の寿命が約30-40年、最長50-80に達し、経済的な価値を持つのが約15-20年。

植える後1-3年位生長が旺盛で主要枝を形成し、樹冠が出来上がる。

定植後2-3年位で実を取れる。

4-6年主枝の伸びが速く、分枝が大量に増え、樹冠が迅速に拡大し、収穫量が順次に増加する。

7-8年後、一番盛んな時期に入り、毎年2-3キロの実の皮を取れる。

10年以上の樹が5キロ位に達する。

15年後、収穫量が順次に減少し、枯れ枝が発生する。

20-30年後、一部の主枝、分枝、実り枝が枯れ、実りが非常に低くなる。